著者のコラム一覧
山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

オリックス能見篤史の引退に思う “往年の虎のエース”同級生の井川慶との奇縁

公開日: 更新日:

 そのころの阪神では7年早くプロ入りしていた井川がすでにエースの地位を築いていたから、同級生でかつては並び称されていた能見はどんな気持ちだったのだろう。

 世間的評価はエース井川とルーキー能見で、天地ほどの差が開いていた。しかも能見の1年目は16試合の登板で4勝しかできず、一方の井川はその年13勝を挙げて阪神の2年ぶりのリーグ優勝に貢献。

 翌06年も能見は主にリリーフで38試合に登板したものの、2勝4敗、防御率4.98と芳しくなく、一方の井川は先発ローテの大黒柱として14勝9敗、防御率2.97。自身3度目となる奪三振王のタイトルを獲得し、そのオフにはポスティングでMLBへと渡った。

■79年度生まれの左腕王国

 しかし、ここから2人の運命が大きく変わったからおもしろい。井川がご存じの通りMLBで苦汁をなめ続ける一方で、能見はプロ5年目でようやく先発に定着するや否や13勝を挙げて一気に開花。この時点ですでに30歳と遅咲きのブレークだったが、そんな能見の大器晩成について、早熟の井川が当時のブログに喜びの声をつづっていたことを覚えている。

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