阪神・岡田監督はアタマがまたデカくなる? 本人が明かした第1次政権時の超ストイックな日常
落合監督がニヤッとしたら…
試合中は相手ベンチの動きだけでなく、監督の表情まで観察していた。
優勝した05年、中日は落合監督の2年目だった。落合監督は先発陣に同じ練習をさせるなど対戦チームは「先発隠し」で何度か痛い目に遭っていた。その敵将をはめたことがある。
ある試合で中日は、走れる荒木(雅博)が一塁に出た。
「カウントは2ボール1ストライク。ベンチが動くカウントで様子見いうか、探りを入れるというか、2、3球続けて一塁へ牽制させた。こういう時、落合監督はニヤッとする。『阪神ベンチは何もわかっていない。だから、探ってるんだな。なら、ちょっと動きますか』という気持ちが顔に出る。それで、エンドランをやってくることはわかっていた。『落合監督が笑ったら、バッテリーは外せ』ということは確認済みやから、荒木を二塁で何度かアウトにした」
野球を熟知する者同士の腹の探り合いを楽しそうに語っていたものだ。
屋外球場の本拠地甲子園では天気を気にした。中止になるか、ならないか、グラウンドコンディションはどうか、明日の天気はどうなるか、自ら球場にあるアメダス(気象庁の地域気象観測システム)をチェックするのが常だった。雨は選手の故障に直結するからだ。
グラウンドへ出ていく前にやることはまだある。
「相手のスタメン、ベンチ入りしている投手、ビハインドの時、延長戦になったら残っている選手は誰と誰……あらゆるケースを想定し、常に最悪のことを考えてシミュレーションする。それらをすべて確認してからグラウンドへ出ていく」
毎日、これだけのことを繰り返していれば脳ミソが発達してアタマが大きくなるというわけだ。
グラウンドへ出ても練習もただ眺めているだけではない。選手の動きをいろいろな角度から見る。ただし、チェックはしても選手に声はかけないという。
「一人とだけ話をすればつまらない臆測を呼ぶこともあるからだ」という。意外と言っては失礼だが、そんなことにも気を使うのだ。
試合前の準備といえば、こんなエピソードがあった。
「他のチーム同士の対戦がデーゲームで行われる日に阪神はナイターだった。時間的にその試合はテレビで観戦できる。今後の戦いのためにもぜひ観戦しておきたかった。でも、球場のテレビでは受信できない。すぐにマネジャーに電話して『俺が球場に行くまでに契約して衛星放送を見られるようにしておいてくれ』と言った。球場に行ったら、ちゃんと見られるようになってたわ。そこまでやる監督はおらんかもしれんが、『準備』に最善尽くすのは俺のやり方よ」
岡田監督になった阪神でピリピリするのはコーチ陣だけではなさそうだ。