株式会社GSL社長 小野剛(2)恩師が導いてくれた引退後の第一歩…不動産会社入社3カ月目で売り上げトップに
戦力外になるとわかって、真っ先に頭に浮かんだ人物がいた。武蔵大時代のゼミの教官で経済学者の安達智彦教授だ。イタリア挑戦前に現地の生活についてアドバイスをもらうなど、気にかけてくれていた。早速、連絡すると、相談に乗ってもらうことになり、とあるゴルフ練習場のカフェへ向かった。
「『将来はおまえが他の選手のセカンドキャリアを助けられるようになれ。まずは不動産を勉強しなさい』と。安達先生は知識が豊富で、こちらが質問したら何でも答えてくれる。5、6時間ぶっ通しで経済や金融、世界情勢のことまで教えていただいた。安達先生とは次の日も、その次の日もお会いしました」
■戦力外翌日に西武へ挨拶回り
こうして安達教授の紹介で不動産会社の東海住宅に入社。戦力外通告を受けた翌日には新たな名刺を携えて西武ドーム(現ベルーナドーム)に出向き、選手たちに挨拶して回った。一流選手の年俸はサラリーマンとはケタ違い。元同僚選手たちの好意もあって、扱う住宅の単価はハネ上がり、入社3カ月目にして社内売り上げトップの営業成績を叩き出した。