衣笠祥雄は左肩を骨折しながらフルスイング「1球目はファン、2球目は自分、3球目は西本君のために」
江川卓の直球をフルスイングし3球三振
その瞬間、当然のように両チームの選手がベンチを飛び出し乱闘が始まった。
さすがの西本も動揺して倒れていた衣笠のところに駆け寄ると「すいません」と繰り返す。すると衣笠は、「俺は大丈夫だ。それより危ないから早くベンチに戻れ」と大声を上げたという。
すぐ病院に運ばれた衣笠には左肩甲骨の骨折による全治2週間の診断が下された。これで連続試合出場記録は途切れたと誰もが思った。ところが、そこは鉄人だ。翌2日の試合に衣笠は代打として登場した。そして、肩を骨折しているにもかかわらず江川卓のストレートに3球ともフルスイングして三振を喫した。
試合後、「1球目はファンのため、2球目は自分のため、3球目は西本君のためにスイングした」と衣笠。その不死身ぶりには誰もが驚き、感動した。
(ライター・清水一利)