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鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大准教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部准教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

大リーグを悩ませる学生ローン問題 バイデン政権の“返済免除”政策に連邦最高裁がNO

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 だが、4年制大学卒業者のローン残高は、公立大学卒業生の場合で1人当たり平均3万7000ドル、私立大学出身者では5万5000ドルに達する。そのため、大卒者が将来への展望を持てなかったり、金銭的な負担から結婚をためらったり、さらには親元を離れず経済的な自立が遅れるといった、従来の米国人の常識とは異なる現象が起きている。

 このとき、将来への不安から支出の選別が進められ、野球観戦を含む娯楽費や交際費が削減されるのは、生活防衛のための当然の対応となる。

 さらに、高額の奨学金を得られる大学のスポーツ奨学金も、全額を受給する選手の約8割が連邦政府が定める貧困層出身者とされる。そして、少しでも良い奨学金を得ようと、有望な高校生がアメリカンフットボールバスケットボールを選ぶ一方で、奨学金が見劣りする水泳などの種目では全米ジュニアオリンピック代表選手でも競技の継続を断念することは珍しくない。

 現在、米国の大学スポーツ界において、野球は人材獲得の面でアメリカンフットボールとバスケットボールに後れを取っている。今後は学生ローン問題から、さらなる先細りが懸念される。

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