岡田阪神に漂う“異変”の気配…来季の戦力不安と優勝特需で「FA&助っ人補強封印」の方針転換あるぞ
大竹は成績に波、青柳と西勇は不振
その一方で、チーム周辺には、「来季も安泰かといえば必ずしもそうとはいえない。特に投手が不安。甲子園を本拠地とする阪神は大量点を期待しづらく、強力な投手力が不可欠。ピンポイントでも補強をすべきではないか。オリックスも昨オフは西武からFA宣言した森友哉を4年総額20億円規模で獲得している」との声もある。
不安の一因に挙げられるのが、昨オフの現役ドラフトでソフトバンクから獲得した大竹(28)だ。今季は抜群の制球力と緩急自在の投球で12勝2敗、防御率2.26をマーク。チームに10個もの貯金をもたらし、優勝の原動力となった。
ただ、大竹は成績に波がある投手だ。開幕から5月末までは7試合で6勝0敗、防御率0.52と抜群の安定感を誇ったものの、6月未勝利に終わると、7、8月は防御率が4点台に悪化。9月に3勝0敗、防御率1.37と持ち直したが、そもそも大竹は2年連続で活躍したことがない。岡田監督も今季同様の活躍を見込んではいないだろう。
「先発陣は青柳(29)、西勇(32)が安定感を欠いた。若手の中からは日本シリーズ第4戦で好投した才木(24)が頭角を現したが、期待のドラ1である西純(22)、森木(20)は成長途上。未完の大器・高橋(27)も6月に左肩と、左手首と肘の間の尺骨を手術しており、来季に復帰できるかどうかという状況です。
今年のドラフトで他球団との競合を避けて下村(青学大)を一本釣りしたのも、岡田監督がクジ引きを回避して確実に即戦力の投手を確保しておきたいと考えたからこそ。リリーフにしても、開幕時の抑えだった湯浅(24)が年間を通して不調だった。来季を見据えて補強するに越したことはないといっていい」(阪神OB)
■利益大幅増で資金潤沢
実際、このオフのFA市場には計算が立つ先発が何人かいる。今季11勝を挙げるなど、3年間で24勝をマークするオリックスの左腕・山崎福(31)、3年連続で規定投球回に到達した日本ハム・加藤(31)は複数球団が水面下で調査を進めている。
リリーフでは、通算337試合で100ホールドのタフネス右腕である西武の平井(31)が国内FA権を取得。DeNAのバウアー(32)やソフトバンクのオスナ(28)というメジャーで実績のある大物も今季限りで契約が切れる。
潤沢な資金も補強を後押ししそうだ。先日発表された親会社の阪急阪神ホールディングス(HD)の24年3月期の第2四半期決算によると、経常利益は前年同期比約35%増の669億円に拡大。阪神の優勝が大きく寄与した。
カネはうなるほどある上に、岡田監督の後ろ盾は阪急阪神HDトップの角会長兼CEOだ。補強を要望すればゴーサインが出るのは間違いない。この日本シリーズの結果次第では、いよいよ「補強ゼロ」から方針転換する可能性はある。