打点王を取るため最終打席で狙って一発 最初で最後のタイトル獲得の舞台裏
2ボール1ストライクから外角の直球に的を絞った。まんまとそこに投げ込まれてきた直球をかち上げると、打球はレフトスタンドへ飛び込む25号となった。これで打点は80、打率も.301というキャリアハイの成績でシーズンを終えた。
最終的に田中は1打点を加え、イチローも最終戦で2ランを放ち、3人が「80」で打点王を分け合うことになった。それでも私にとっては最初で最後のタイトルだ。迷わず4打席目に向かえたのは「死に物狂いで取りにいかなきゃタイトルは取れないぞ」という元ロッテ監督・有藤通世さんの叱咤激励があったから。もし3打席目で交代していたら、打点王にはなれなかった。
■外国人指揮官には戸惑い
この年のパ・リーグは「投高打低」で、リーグ平均打率は.248。3割打者はイチローと堀、フランコ、私(リーグ4位)のロッテ勢3人の計4人のみだった。
この時代では珍しい外国人監督による戸惑いはあった。ボビーは春のキャンプを見て「何でこんなに練習するんですか?」と目を丸くした。「練習をやり過ぎると試合で疲れる。だからもうやめなさい」と注意され、ナインは物足りなさを感じていた。