なぜ野球選手に国指定難病「黄色靭帯骨化症」が多いのか? 球界初の経験者と医師が語る

公開日: 更新日:

「不思議なことにプロを含めてなぜか全員投手なんですよね…」

「先発ローテの合間の投球練習中でしたね。トップをつくり、重心移動して投げる瞬間、急に背中をハンマーで殴られたような衝撃が、かかとまで走った。土井監督(当時)に相談すると『しびれは怖いから病院に行け』と言われ、1カ月くらい、あちこちを回り、最後に診察した病院で判明しました。そして手術となったのですが、なにせプロ野球では私が初めてなものだから症例もなく、復帰できるかどうかもわかりませんでした」

 その後、酒井氏は1週間、病院のベッドで寝たきり生活を送り、車椅子を経て立つ練習から始めたという。

「僕の時は脊椎の後ろ側を3本取って、硬くなった靱帯を除去し、人工骨を入れる大手術。結局、一軍復帰はかないませんでしたが……。8月に手術をして、翌年の春季キャンプに間に合わせようと無理をしたからか、肉離れもあった。もう少し、ゆっくりリハビリと練習をしていれば良かったのかもしれません。今も左足の小指の感覚が多少弱く、布で包んだような感覚ですね。でも、術式もだいぶ進歩しているようで、僕の後に手術をした選手は脊椎の後ろ側を3本外して悪い部分を削り、元に戻すという内容だったようです。今は内視鏡でできるそうで、手術をした三嶋選手の名前を取って『MISHIMA手術』と言われているとか。大学野球でもたまに聞きますが、不思議なことにプロを含めてなぜか全員投手なんですよね……。投げる動作のどこかが、靱帯に負担をかけているのか……」(酒井氏)

 来季、再び湯浅がマウンドで躍動する姿に期待したい。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ソフトバンク 投手陣「夏バテ」でポストシーズンに一抹の不安…元凶はデータ至上主義のフロントか

  2. 2

    「負けた」はずの琴桜が「勝った」ウラ事情…疑惑の軍配が大炎上《翔猿がかわいそう》

  3. 3

    大谷が2026年WBCを辞退する可能性…二刀流継続へ「右肘3度目手術」は絶対避けたい深刻事情

  4. 4

    広島先発投手陣に忍び寄る疲労の影…9月は防御率が大幅悪化

  5. 5

    小泉進次郎氏「死ぬまで働け」戦慄の年金プラン “標準モデル”は萩本欽一…なんでそうなるの?

  1. 6

    W杯8強へ森保J「5人の重要人物」 頭痛の種は主将・遠藤航の後継者…所属先でベンチ外危機

  2. 7

    SMAPファン歓喜!デビュー記念のラジオ番組で思い出す「SMAP×SMAP」“伝説の5人旅”と再結成の実現度

  3. 8

    国内男子ツアーの惨状招いた「元凶」…虫食い日程、録画放送、低レベルなコース

  4. 9

    貴景勝は大関最短復帰が叶わずこのまま「引退」か…親方就任の準備はとっくに万端

  5. 10

    《柳田悠岐 #2》人並み以上のスピードとパワーを兼ね揃えていたがゆえの落とし穴