《柳田悠岐 #2》人並み以上のスピードとパワーを兼ね揃えていたがゆえの落とし穴
柳田はさらにパワーも一流です。僕がこれまで見てきた選手は、ベテランになったらスピードよりもパワーを優先するケースが多かった。例えば多村仁志もホークス時代、「僕も年とってきたんで、パワーを重視しますよ」と話していた。球界を見渡しても、大杉勝男さん、門田博光さん、田淵幸一さん、最近では山崎武司や中村剛也ら、年をとっても活躍した野手はホームランバッターが多い。イチローみたいなのはむしろ例外。その意味では今のソフトバンクでは周東が将来どうなるか、気になっています。
話を柳田に戻しますが、ここ数年は長期離脱することが多い。実は若手の頃はちょっとやそっとのケガなら、休まずにプレーしていたんです。それが現在は「まずは完治を目指す」という方針に切り替わった。
これは年齢も影響していますが、柳田が社会人野球で、現在のケガと同じ箇所を痛めた選手を知っているからです。この選手は状態を上げようと無理をした結果、ほぼ半年、まともにプレーすることができなかった。柳田も以前、「可能なら無理はしますけど、なるべく無理はしないようにやっていかなきゃダメですね」と話していました。
それでもポストシーズンには間に合いそうです。ナインも「柳田さんが気持ちよく帰ってこられるように」と一致団結しているはず。それが小久保引退後に柳田が培ってきた人望です。次回はベテランと言えばこの人、左腕の和田毅の項になります。