「国家のシロアリ」福場ひとみ
「そのおこぼれで、『それっぽい企画書』で予算をもらった民間会社の話も聞きました。まさに『復興特需』です」
道路整備のほか、霞が関の役所の改修、クールジャパンの推進、日本年金機構の設備整備、東京スカイツリー開業プレイベントなどの事業に使われた。一方、肝心の被災地では復興が進まない。
「ある東北の職員は、『被災地を舞台に、霞が関の各省が縄張り争いを繰り広げているだけ』と嘆いていました。税金の適切な使い道を決めて執行するべき政治家や官僚が、機能せずに空恫化しています。ウォルフレン氏の言葉を借りれば、それが『日本というシステム』なんですね」
著者がジャーナリストを志したのは、ウォルフレンの著書「人間を幸福にしない日本というシステム」がきっかけ。今回の復興予算に取り組む半年前、彼にインタビューし「ジャーナリストに大切なのは、しっかり調べること」と言われたばかりだった。
「今は情報公開が進んでいます。憤慨することがあったら自分で調べてみると、発見があると思います。国民が関心を持つことが、日本を変えることにつながると思います」