「消えたい」高橋和己著

公開日: 更新日:

■「患者の〈親子関係〉が見えない。それが虐待に気づいたきっかけでした」

 著者が、患者が虐待されて育ったことに気づいたきっかけは〈親子関係〉だった。
うつ病などの場合は親子関係が重要なことが多いんですが、7~8年前、親子関係が〈見えない〉患者さんが増えているのに気づきました。親子関係が見えないのは、本人の意識の中に親がいないから。親に虐待されていたのに、〈いいお母さんでした〉と言う。どういうことをしてもらったか聞くと、考えた末に〈ちゃんとご飯を出してくれた〉。母親のやさしいところを見つけようとしても、それしかないんですね」

 殴るとか蹴るというレベルではない。言うことを聞かないからと小学4年生の息子の足の爪をペンチではがすなど、常軌を逸している。食事をさせてもらえず、学校の給食が唯一の食事だったという患者もいる。
「それでも子どもは、親は自分のことを愛しているはずだと思い、自分が悪い子だからいけないのだと、必死でいい子になろうとする。努力が足りないと自分を責めながら生きてきて、大人になってから燃え尽きてうつ病になるんです」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ吉井監督が佐々木朗希、ローテ再編構想を語る「今となっては彼に思うところはないけども…」

  2. 2

    20代女子の「ホテル暮らし」1年間の支出報告…賃貸の家賃と比較してどうなった?

  3. 3

    【独自】フジテレビ“セクハラ横行”のヤバイ実態が社内調査で判明…「性的関係迫る」16%

  4. 4

    「フジ日枝案件」と物議、小池都知事肝いりの巨大噴水が“汚水”散布危機…大腸菌数が基準の最大27倍!

  5. 5

    “ホテル暮らし歴半年”20代女子はどう断捨離した? 家財道具はスーツケース2個分

  1. 6

    「ホテルで1人暮らし」意外なルールとトラブル 部屋に彼氏が遊びに来てもOKなの?

  2. 7

    TKO木下隆行が性加害を正式謝罪も…“ペットボトルキャラで復活”を後押ししてきたテレビ局の異常

  3. 8

    「高額療養費」負担引き上げ、患者の“治療諦め”で医療費2270億円削減…厚労省のトンデモ試算にSNS大炎上

  4. 9

    フジテレビに「女優を預けられない」大手プロが出演拒否…中居正広の女性トラブルで“蜜月関係”終わりの動き

  5. 10

    松たか子と"18歳差共演"SixTONES松村北斗の評価爆騰がり 映画『ファーストキス 1ST KISS』興収14億円予想のヒット