「現代語訳 好色一代男」吉井勇訳
生涯恋に身を悩まし、交わった女の数が3742人、加えて男色の相手も725人という世之介の生涯を描いた江戸時代の文豪・井原西鶴の代表作。近代を代表する歌人による名訳の復刻版。
島原に通い詰めた父・夢介が身請けした3人の遊女の一人を母にして生まれた世之介は、まだ男女の関係がどういうものか分からない7歳のときから側仕えの女中にちょっかいを出し、部屋にこもっては集めた春本を読みふけり、手習いの師匠に恋文を代書させる始末。10歳になると行きずりの男に自ら進んで契りを求めるほどの早熟ぶりに相手もひるむほどだ。
勘当後は、永遠の夢の女を求め、さまざまな境遇の人々と関係を持ちながら津々浦々を歩きまわる。(岩波書店 980円+税)