人生を救う言葉編
「写真紀行 心に残る「三国志」の言葉」小松健一著
今から約650年前に書かれた「三国志演義」の中にある名言や名ゼリフを厳選。小さなハンドブックサイズながら、その原文、書き下し文、日本語訳に、その言葉が生まれた舞台の美しい写真とリポートを添えたぜいたくな一冊だ。魏・呉・蜀の3国が競い合い、軍師・諸葛孔明が活躍した乱世の時代に英雄たちは何を語り、どのように人々を導いたのか。
曹操に侵攻され、江陵へ行く計画を立てた劉備が孔明に言ったのは、「大事を挙ぐる者は必ず人を以て本と為す 今 人の我れに帰すに奈何ぞ之を棄てん」(大事を挙げようと思う者は、必ず人をもととせねばならぬ。いま人がわしのもとに集まってきておるのに、どうして見捨ててなぞ行けようか)。
生きるか死ぬかの境界線を生きた彼らの言葉を読めば、社会の中で日々成果という名の数字に追われがちな現代人の葛藤も吹けば飛ぶようなものに思えてくるに違いない。(新潮社 1500円+税)