読む人を物語世界に誘う長編小説特集

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「チャンキ」森達也著

 2033年、奇妙な自殺〈タナトス〉が蔓延していた。結婚が決まったばかりとか、死ぬ理由がまったくない人間が突然、衝動的に自殺する。しかも、それは日本だけだった。高3のチャンキの周辺でも自殺者が相次いでいた。チャンキは休職中の教師に「タナトスについて日本人はもっと考えるべきだ」と言われ、教師がヒントがあると言ったカメ地区に、ガールフレンドの梨恵子と行ってみる。そこは不良外国人といわれる人たちのコミューンとなっていたが、廃線になったはずの駅になぜか電車がやって来て、扉が閉まる直前に2人は乗り込む。カメ地区で知り合った外国人たちは、それぞれに信仰をもっていた。〈タナトス〉は信仰をもたない日本人へのペナルティーなのか?

 気鋭の映像作家が排他的な近未来の日本をリアルに描いた初の長編小説。(新潮社 2400円+税)

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