「日本はなぜ脱原発できないのか」小森敦司著
「一匹の化け物が日本を徘徊している。『原子力村』という化け物が」と本書の惹句はいう。もちろんマルクスの有名な言葉のもじりだが、新聞記者として原発問題を精力的に取材してきた著者のホンネだろう。
経産省の指導のもとで東電と自民党、原発の地元利権族、そして大手マスコミから元東大総長ら文化人までが「原子力ムラ」を形成し、CO2問題を隠れミノにして原発を聖域化してきた。過去の記事をまとめたものだけに、その都度の各関係者へのインタビューも豊富。著者自身の怒りと悲しみも伝わってくる。(平凡社 800円+税)