「幕末 暗殺!」谷津矢車、早見俊ほか著
慶応2年12月、天然痘で亡くなったとされる孝明天皇。突然の病死とあって、巷には毒を盛られたのではないかという噂が流れていた。
真実を何としても知りたいと考えたある青年将校は、真相を聞くべく外務卿兼右大臣の岩倉具視に直接疑問をぶつける。「わてが毒を盛ったとしたら、どないする?」と尋ねる岩倉に1年の猶予を与えられ、彼は参議を務める木戸孝允、日本語書記官のアーネスト・サトウ、海軍大輔の勝海舟、陸軍元帥兼参議の西郷隆盛、大蔵卿の大久保利通らに聞き込みを開始。それぞれの証言から導き出した真相は思いがけないものだった……。(「明治の石」)
歴史時代小説の世界に、新しい風を呼び込むべく集まった作家集団「操觚の会」のメンバーが、幕末に起きた暗殺を題材にして描いた書き下ろし短編競作集。
取り上げられているのは桜田門外の変、塙忠宝暗殺、清河八郎暗殺、佐久間象山暗殺、坂本龍馬暗殺、油小路の変、孝明天皇毒殺という、幕末期に立て続けに起きた7つの事件。暗殺事件の定説を見事に覆す新しい展開に、歴史推理ファンなら、ツボにはまること間違いなしだ。(中央公論新社 1600円+税)