「世界がわかる地理学入門」水野一晴著
図版約230点を掲載し、地球上の各気候帯が成立した自然のメカニズムを明らかにしながら、それぞれの植生や自然などを解説した科学テキストである。
まずは熱帯の熱帯雨林とサバンナにスポット。熱帯雨林は赤道付近に分布し、サバンナは熱帯雨林帯を取り囲むようにその北側と南側に分布する。すべての大型類人猿は熱帯雨林に生息しており、過去の気候変動で変遷した熱帯雨林の分布が人類の発祥につながったという説もあるそうだ。カメルーンの熱帯雨林で暮らす農耕民やタンザニアのサバンナのコーヒー生産者など現地の人々の生活も紹介。その他、乾燥地帯の砂漠や半乾燥地帯、冷帯気候の高緯度地帯と高山地帯、温帯気候の地中海沿岸や日本に焦点を当て、その自然環境と人々の暮らしぶりに迫る。 (筑摩書房 950円+税)