「うかれ女島」花房観音著
西日本のある湾岸にうかぶある島で数年間を暮らし、今は池袋で託児所のオーナーをしている現役の娼婦・鳥井忍(43歳)の元に一通の手紙が届いた。差出人は島で世話になった真理亜の一人息子の伊勢田大和。手紙には、亡くなった母が「死ぬまでに、この4人の女たちに会いたい、会わないと、死にきれない」というメモを残していて、その一人である忍に、せめて亡くなったことだけでも知らせたい、と手紙を出したという。
ある島とは、通称“うかれ女島”と呼ばれ、江戸時代から現在まで続く売春島だったのだ。そこで働いていた女たちは、今は普通の主婦であり、一流企業のOLであり、女優となっている者もいた。そんな彼女たちの現在と過去をたどるために忍と大和は「うかれ女島」に渡る――。
むき出しの欲望と恍惚の世界を描いた書き下ろし小説だ。
(新潮社 1800円+税)