「鵜頭川村事件」櫛木理宇著
岩森明は膵臓がんで死んだ妻・節子の墓参りのために、6歳の娘・愛子を連れて妻の故郷の鵜頭川村を訪れた。村で3年ぶりに会った降谷辰樹がすさんだ目をしているのが気になった。辰樹は東京の大学に行く予定だったが、兄が事故死したため、進学を諦めて村に残ったという。そんな折、村の若者の刺殺死体が発見された。駐在を呼びに行こうとしたら、20日ちかく降り続いた雨で土砂崩れが発生して村は孤立した。電話も通じない。辰樹は村を守るため、自警団を結成するが、村内で対立する勢力とトラブルになり、やがて村は狂気に巻き込まれていく。
閉ざされた村で起きた暴動と狂乱をめぐるサスペンス。(文藝春秋 1800円+税)