「彼女の恐喝」藤田宜永著
母子家庭で育った岡野圭子は、六本木のクラブでホステスをしながら大学に通っている。台風の夜、タクシーで送ってくれた初対面の客にしつこく体を触られ、途中でタクシーを降りた。停電の中、車のライトを頼りに歩いていると、突然、男が前方に現れた。ライトで照らし出された顔は、店の客の国枝だった。人材派遣会社を経営している男だ。右足を少し引きずりながら、何かに追い立てられるように歩いてゆく。
翌日ニュースで、杉並区のマンションで華道講師の女性が刺殺されたことを知った。ここは昨夜、国枝が出てきたマンションでは? 圭子はパソコンで「恐喝罪」を検索した。
自分が恐喝した男を愛してしまった女を描くサスペンス。
(実業之日本社 1600円+税)