「スノーマン」一雫ライオン著
五輪に向けて建て替えが進む国立競技場の近くにある古い団地の一室で多数の遺体が見つかる。臨場した四谷署の刑事・桐生は、被害者の中に愛人の街娼・紀美子を見つける。彼女との関係が明らかになるのを恐れた桐生は、同僚らの目を盗み、遺留品を持ち出す。
数時間後、新宿御苑のトイレで4歳の男の子と会社員の惨殺体が見つかる。男の子の母親・実日子によると、トイレから出てきたのは異様に肌の白い美しい若い男(スノーマン)だったという。トイレに残された指紋が団地の犯行現場から検出された指紋と一致する。
麻薬に溺れながら刑事を続ける桐生やシングルマザーの実日子など、さまざまな事情を抱える登場人物たちの視点で展開するノンストップ長編サスペンス文庫書き下ろし。
(集英社 720円+税)