「美しい『あかり』を求めて」石井幹子著
世界的照明デザイナーが本当に美しく心地よい「あかり」とは何かを伝えるエッセー。
長年、海外で仕事をしてきた著者は、自宅に泊めたフランス人が障子を通した光の美しさに感嘆する姿を見て、日本文化が大切にしてきた陰影の美しさに改めて気づく。それは、光と闇という対比の中でとらえる欧米の照明とは異なる、光から闇に至る中間領域の中にある柔らかな「あかり」で、日本文化が育んだ独自の存在だという。「昼よりも夜が美しい」を証明した東京タワーや、満月のあかりが村を包み込むさまを再現した合掌造り白川郷など、これまで手掛けたプロジェクトを紹介しながら、日本人が培ってきた「ほのあかり」への思いをつづる。
(祥伝社 700円+税)