「入門!自宅で大往生」中村伸一著
超高齢化社会に突入した日本では「逝き場所」としての病院や施設が絶対的に不足。本書は、福井県のへき地、旧名田庄村で「家逝き・看取り」を実現してきた医師が、同地域に受け継がれる「逝きの文化」ともいうべき知恵と経験を紹介する家逝き・看取りの入門書。
自分の生死の可否を超越した92歳のばあさまのエピソードなどを紹介しながら穏やかな逝き方に不可欠なのは「覚悟を決める」ことだと説く。しかし、一方で本人も看取る家族も「いまわの際であがいたって」それは想定内と受け入れ、壮絶に死と戦うための励ましよりも和やかな往生に有効なのは肩の力を抜くユーモアだと語る。そうした心構えから、おひとりさまでも可能な具体的な家逝きの極意などを解説。
(中央公論新社 860円+税)