「新選組 最後の勇士たち」山本音也著
新政府のフランス人軍事顧問に仕える沢に、陸軍省参謀局将官・安富から知らせが届く。新島から戻ったばかりの相馬が切腹して果てたという。相馬は白い夏帯の裏に「一ツ」と書いた妙な遺言を残していた。沢と安富、相馬の3人は元新選組隊士で、共に土方歳三の最期をみとった仲だった。4年前、安富は薩長に従することを良しとせず、流刑地の八丈島でこのまま朽ちようと心を定めていた。
そんな中、ともに箱館戦を戦った相馬が新島に配流されたと耳にし、地役人の計らいで面会に行く。箱館の戦で相馬は片腕を、安富は左手の4本の指を失っていた。相馬は、いずれ新政府で力を尽くす日が来ることを望んでいた。
第10回舟橋聖一文学賞を受賞した時代長編。
(小学館 840円+税)