「婆娑羅太平記 道誉と正成」安部龍太郎著
鎌倉幕府六波羅探題の軍目付・佐々木道誉は、畿内の楠木正成が挙兵を企てていると知り、奈良に出撃する。1年前の元弘の乱(1331年)で討幕の兵をあげた後醍醐天皇は捕らえられたが、その後も正成は潜伏した皇子の護良親王と連絡を取り再起を図っていた。 そして半月前、正成が法会を装い士豪たちに九品寺への参集を呼び掛けていることが分かったのだ。道誉は、夜明けとともに九品寺の周りを固めた味方の武将に合戦開始を告げるが、その時すでに幕府軍は正成軍に包囲されていた。計画が漏れていることに気づいた正成が、予定を変更して道誉をおびき寄せたのだった。
バサラ大名・道誉と戦巧者の愛国の士・正成。両雄の戦いを描く安部版「太平記」シリーズ開幕。
(集英社 840円+税)