「白村江」荒山徹著
百済の義慈は、父王の逝去を機に後継者に推戴される予定だった異腹弟の豊璋を廃王子し、王座を得る。さらに義慈は新羅征討に乗り出し、難攻不落の大耶城を陥落。一方、流罪となった豊璋は暗殺される寸前に突如現れた、倭国の蘇我入鹿によって救出される。義慈は、倭国との関係を考慮して様子見を決め込む。同じ頃、新羅の春秋は女帝・徳曼をお忍びで訪問。徳曼の最愛の情人でもある春秋は国家衰亡の危機に際し、高句麗との同盟を提言。徳曼を説得して、自ら密使となり高句麗の重臣・蓋蘇文に接近する。一方の倭国では蝦夷と入鹿の親子が虎視眈々と皇位の簒奪(さんだつ)をもくろんでいた。
白村江の戦いに至るまでの21年間を壮大なスケールで描く時代大河。
(PHP研究所 940円+税)