「ルポ 技能実習生」澤田晃宏著
海外から「奴隷制度」などと批判される日本の「技能実習制度」の実態に迫るルポルタージュ。
技能実習の在留資格で滞在する外国人は、約41万人。この5年で2倍以上に増えている。以前は中国人が多かったが、現在は半数以上がベトナム人だという。ベトナムに赴いた著者は、地方の貧しい農家出身の青年たちが、日本の技能実習制度で階層を逆転するチャンスを得ていることを目の当たりにする。
一方で、悪徳ブローカーの餌食になったり、来日後に失踪する実習生も多い。実は一口に実習生といっても国によって送り出しの仕組みが異なるのだ。
本書ではベトナム人実習生とその送り出し機関、そして日本側の監理団体などを取材し、その複雑な制度の裏表、そして外国人労働者の現実を追う。
(筑摩書房 860円+税)