「キリギリスの年金」明石順平著

公開日: 更新日:

 年金財政の危うい現実を明らかにする警世の書。まずは「老後2000万円問題」の発端となった報告書を検証。モデルケースでは介護費用などの支出を考慮しておらず、また夫婦や厚生年金受給者を想定しているため、現実はさらに厳しいと指摘する。

 一方で、昨年行われた年金財政検証を多くのデータを提示して分析し、検証は、賃金も物価も大きく伸びることを前提にした実現不可能な楽観的な数値で、まったくあてにならないと断言。賦課方式ゆえに年金がゼロになることはないが、このままでは一生働くことを前提に考えなければならないという。

 労働者はアリのように働いてきたが、為政者が目先の利益を優先し、「少子高齢化」という「冬」に備えてこなかったために陥った年金の不都合な事実を告発する。

(朝日新聞出版 850円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動