「ディス・イズ・ザ・デイ」津村記久子著
貴志が中2のとき、地元のプロサッカーチーム「三鷹ロスゲレロス」がリーグ3部から2部に昇格。母親がもらってきたチケットで観戦した貴志は、スキンヘッドのディフェンダー・若生のプレーに感嘆する。
しかし、他の選手が不慣れすぎて試合は負け。翌日の学校でもサッカー部員らの評価は散々だったが、貴志は学校では無関心を装いつつ、スタジアムに何度も足を運ぶ。その後、チームはあっさり3部に降格。そのショックを誰とも共有することなく、貴志は三鷹のサポーターだった過去を封印する。大学生になった貴志は、若生がシーズン途中で三鷹の監督に就任したことを知り、最終戦に足を運ぶ。
最終節を迎えた2部リーグの架空の22チームとそのサポーター22人を描く連作小説。
(朝日新聞出版 990円)