「人間愚痴大全」福田智弘著

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 1582年、京の本能寺で茶会を催した信長は、夜、騒がしさで目が覚め、何事かたずねた。鬨の声が上がり、砲弾が打ち込まれて、どうやら謀反とみえる。小姓の森蘭丸が「明智が者と見え申候」と答えると、信長は「是非に及ばず(どうしようもない)」と言った。知勇に優れた明智だから、ぬかりがあるはずがない。

 1962年、ソ連がアメリカのすぐ近くのキューバにミサイル基地を建設するという情報を掴んで海上封鎖を断行したケネディ大統領は、ライバル議員にこうこぼした。

「大統領の仕事がこんなにキツイと知っていたら……。あなたに勝つんじゃなかった」

 偉大な人物がこぼした愚痴のコレクション。

(小学館集英社プロダクション 2200円)

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