「古本食堂」原田ひ香著
神保町で小さな古書店をやっていた独身の鷹島滋郎が亡くなった。滋郎の妹、珊瑚が帯広からやってきて店を継ぐことになったが、何をしたらいいかわからない。隣のカフェで釣り銭を用意することなどを教えてもらった。滋郎の甥の娘である鷹島美希喜(みきき)が、母に頼まれて大学の帰りに店の様子を見に来てくれてほっとしたとき、若い女性客が入ってきた。幼稚園に入る子どものために、お弁当の作り方の本を探しているという。
お弁当作りで精いっぱいだと聞いて、珊瑚は小林カツ代の本を薦めた。その客にランチの店を尋ねられて、美希喜が笹巻きけぬきすしをもってきたのを思い出す。
小さな古書店を舞台にした人間ドラマ。
(角川春樹事務所 1760円)