「だからフェイクにだまされる」石川幹人著
私たちがフェイクを信じてしまうのは、人類が「協力上手なサル」だからだという。太古の昔、祖先たちは食糧確保のため協力を余儀なくされた。ゆえに仲間を信じて同調する心理傾向が進化し、それが私たちにも備わっているというのだ。ウソをつけば、集団から追い出されるから、フェイクに対応する仕組みが必要なく、進化しなかったのだ。
しかし、文明の時代になり信頼を悪用するフェイクが登場。さらに、近年の情報メディアは「フェイクニュースでも、注目を集めれば広告収入が入る」仕組みで、フェイクの起きやすい社会構造をつくり出している。
本書は、「進化心理学」の視点から、フェイクをつくり出したり拡散したりする心理構造や社会構造を解説、フェイク問題への対応策を提示する。
(筑摩書房 858円)