「先祖探偵」新川帆立著
依頼人の先祖をたどるのが仕事の邑楽風子の探偵事務所に、大手商社勤務の甲斐裕翔(ゆうと)が、曽祖父の甲斐三郎を探してほしいと依頼にきた。宮崎県日南市役所から、三郎が日本最高齢になるので表彰したいといわれたが、裕翔は会ったことがない。風子が日南市役所に出向いて戸籍謄本を調べると、裕翔の祖父、茂は甲斐三郎の息子ではなかった。
近所の日高さんの話では、曽祖母トキ子は三郎と結婚する前に結婚歴があり、茂はトキ子の初婚の夫、時任榮太郎の息子だという。ところが、日高さんの95歳の母が三郎の写真を見て、「トキトウエイタロウやな」と言う。
戸籍をめぐる事件を先祖探偵が解くユニークな探偵小説5編。
(角川春樹事務所 1760円)