「『あ゛』 教科書が教えない日本語」山口謠司著
小学校の国語で「五十音図」を使った教育が始まったのは約150年前。日本人は、この教育で日本にはない外国語の発音や方言で使われる音を「五十音図」に書かれる文字ですべて表せると思うようになってしまった。
しかし、最近では日本語にない「V」の発音を「ヴィ」と書き表したり、マンガなどでは「あ」や「ん」「ま」などに「てんてん」をつける表記があふれている。
実は、言語というものは日本語に限らず、どのような言葉もおよそ100年を周期に変化をしているという。平安時代の源氏物語のように1000年も前の作品が、同じ日本語でも全く読めないのもそういう理由だ。
古典からマンガまでさまざまな表現を例に仮名の秘密を解き明かし、その進化の謎に迫る面白テキスト。 (中央公論新社 990円)