「てしごと」 あさのあつこ他著

公開日: 更新日:

 京都・鷹ケ峰御薬園を預かる藤林家は代々、禁裏のご典医を兼ね、当代当主の匡も腕のいい本道医(内科医)である。義妹の真葛も名医のもとで修業を積み、診立ての確かさは兄も一目置くほどだ。しかし、真葛は薬師の道を選んだ。

 ある日、匡のご典医仲間の鍼医・御薗常言が訪ねてきた。常言は、自分が留守の間に老婆が売りに来た「大同類聚方」なる医書の真本を、仲たがいしている弟の常懿が手に入れたかもしれないと気に病んでいた。同書は1000年前に編纂された最古の医書だが、出回っている伝本は8年前に偽書と断じられ誰も見向きもしなくなった。

 しかし、御薗家には帝よりその真本を賜ったという言い伝えが残されていた。(澤田瞳子著「春雀二羽」)

 ほか、麹造りや蕎麦打ちなど女流作家6人が女職人を主人公に描く本紙連載の時代小説集。

(徳間書店 825円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…