「水車小屋のネネ」津村記久子著
「水車小屋のネネ」津村記久子著
高校生の理佐は母親の婚約者の増村が入学金を使ってしまったため、短大に行けなくなった。バイトの帰りに公園に寄ると、10歳年下の妹の律がいた。増村に家を追い出されたという。
理佐が家を出るために寮のある仕事先を探したら、「鳥の世話じゃっかん」という妙な条件のついたそば屋の仕事があった。亡くなったおじいちゃんが飼っていたネネという鳥がいるが、おかみさんが鳥アレルギーなので鳥の世話もしてほしいという。水車小屋にある石臼でそば粉をひいているが、インコかオウムらしいその鳥は、ラジオからプロコル・ハルムの「青い影」という曲が流れると歌い始めるのだ。
助け合いながら生きていく姉妹の40年を描く物語。 (毎日新聞出版 1980円)