「パワー」ナオミ・オルダーマン著、安原和見訳
「パワー」ナオミ・オルダーマン著、安原和見訳
イギリスのギャングの娘ロクシーの家に、ある夜、父親の対抗勢力の殺し屋が乱入してきた。母親がナイフを突きつけられるのを見たロクシーの体内で何かが目覚め、手から雷霆(いかずち)が放出される。
一方、アメリカ・フロリダ州に暮らす孤児の少女アリーは、頭の中に届く声に導かれるまま、雷霆を使ってこれまで自分の体をもてあそんできた養父を殺し、逃走。たどり着いた修道院でイヴと名乗り、各地から集まった少女たちの尊敬を集め宗教的指導者となっていく。雷霆を操る少女たちの対応に追われる市長のマーゴットは自らもその能力を獲得し、権力の階段を上り始める。
目覚めた「パワー」によって力関係が逆転し、女性が男性を支配する社会を描くディストピア小説。 (河出書房新社 1485円)