「親衛隊士の日」ウラジーミル・ソローキン著 松下隆志訳
2028年、皇帝に仕える親衛隊士(オプリーチニク)のアンドレイは、その日もいつものように仲間とおそろいの赤いベンツ「メーリン」で陛下に反抗的な貴族の館に乗りつけ、主をその場で絞首刑に、妻は輪姦後に放逐、そして屋敷は爆破する。赤の乱(社会主義時代)と白の乱(資本主義時代)を経て、ロシアは16年前から絶対的権力を握る皇帝が支配する聖ルーシ(ロシアの古名)時代を迎えていた。アンドレイら親衛隊は、皇帝の威信を守るためにこれまで数え切れぬほどの人々を処分してきた。その日、枢密庁に呼び出されたアンドレイらは、また陛下からある指示を受け、動き出す。
プーチンの皇帝化を予言したといわれるディストピア小説。
(河出書房新社 1408円)