「室町妖異伝」三好昌子著
「室町妖異伝」三好昌子著
文正2(1467)年如月、将軍の跡継ぎを巡り、山名宗全と細川勝元が火花を散らし、合戦を恐れて洛中から人々が避難。
御用絵師の土佐光信の両親も嵯峨へ逃れるが、光信は足利義政の側近として妻の小萩を伴い室町御所へ移り住む。幼いころから人ではないモノの声を聞き、その姿を見る力がある光信は、今回の戦乱の要因は義政にとりつく妖童子という妖物の仕業だと気づいている。
しかし、一介の絵師でしかない光信にはなす術もない。上巳(じょうし)の節句を控えた義政の嫡男・寅若が高熱を出す。御縫所で若君の晴れ着作りに携わった小萩は、義政の正室・富子から呪詛(じゅそ)をしたと疑われ、捕らえられてしまう。
御所につく「つづれ」の力を借りて、京を守る光信の命がけの奮闘を描く時代ファンタジー。 (新潮社 781円)