「私たちの世代は」瀬尾まいこ著
「私たちの世代は」瀬尾まいこ著
ママと2人暮らしの冴が小学3年生になった頃、感染症の流行で休校になり、5月からクラスを半分に分けて週2日登校になった。マスクが手に入りにくくなって、ママがミシンでガーゼのマスクを作った。冴のクラスで配ると先生は喜んだが、マスクが1枚残った。長期欠席中の清塚くんの分だ。
ママと一緒に届けに行くと、細い男の子が出てきた。両親は留守で、朝食も昼食も食べてないという。スマホを持ってないので、分散登校の指示が届かなかったらしい。ママはコンビニでパンと牛乳を買ってきて清塚くんに渡した。それから冴は3日に1度、パンを届けに行くようになる。
困難な時代を生きるマスク世代を描く物語。 (文藝春秋 1870円)