「ぼくの世界博物誌」日髙敏隆著
「ぼくの世界博物誌」日髙敏隆著
仕事や学会で世界中を訪ね歩いてきた動物行動学者による名エッセー集。
氏が生まれて初めて海外に行ったのは1964年夏。行き先はフランスで日仏技術交流留学研修生としてであった。アメンボのような水面にすむ昆虫の研究をしているボードワン教授の厚意で教授の家にホームステイ。おかげでパリの名所はほとんど見なかったがフランス人の生活をかなり知ることができたと、ボードワン家で食べた忘れられぬ朝食の味や夕食時のテーブルマナーを回顧。
ほかにも熱帯の動物調査で滞在したマレーシア・サバ州の州都コタキナバルの、車内でニワトリが走り回るミニバスや、トランジットで足止めされたソ連時代のモスクワでの悪夢のような一夜など。
世界各地での体験や感じたことを動物行動学者ならではの視点でつづる。
(集英社 858円)