「鉄道と国家」小牟田哲彦著
「鉄道と国家」小牟田哲彦著
鉄道の敷設事業はインフラ整備ゆえに、政治と密接に関連してきた。鉄道史をひもとき、そんな政治と鉄道の関係を解き明かす歴史テキスト。
日本の鉄道は創業時から、線路の幅である「軌間」問題に直面し続けている。国際標準軌ではなく、それより狭い狭軌を選択したのは、大隈重信だが、彼は後に自身の判断が誤りだったと認めている。
なぜ日本の鉄道は狭軌で建設されたのか、その背景を考察しながら、鉄道建設をその経済性や軍事的有用性よりも、明治政府が政権運営の円滑化や外交交渉の進展を図る手段として重視していたことを明らかにする。
以降、原敬や佐藤栄作、田中角栄など大物政治家らの介入によって生まれた路線や赤字路線の存廃、新駅誕生の舞台裏など。多くのエピソードで鉄道の近現代史をたどる。 (交通新聞社 990円)