「銃を置け、戦争を終わらせよう」高村薫著
「銃を置け、戦争を終わらせよう」高村薫著
2022年2月24日、ロシア軍はウクライナ全土の空港や軍事施設への攻撃を開始した。ロシア情勢の専門家は軍事侵攻の可能性を指摘していたが、本格的な戦争は起こせないという希望的観測にすがっていた。
だが、実際に戦争を起こせないのはロシアではなく、民主主義社会の豊かさを謳歌している欧米のほうである。アメリカも欧米もNATO加盟国でないウクライナに軍事介入する余力はない。
中国やロシアは軍事侵攻をためらわなくなり、弱小国は蹂躙(じゅうりん)されるままだ。
ロシアとウクライナを分断したのは冷戦時代の「東と西」という価値観だが、この価値観を清算する時期にきているのではないか。
高村薫が平和に向けたビジョンを提言する。
(毎日新聞出版 2090円)