「女スパイ 鄭蘋茹の死」橘かがり著
「女スパイ 鄭蘋茹の死」橘かがり著
1941年10月、吉平は1年半ぶりに上海に戻る。かつて陸軍特務部に勤務していた吉平は、日中和平工作に関与。軍を批判して、憲兵隊につかまり国外退去を命じられたが、ようやく渡航許可が下りたのだ。
ある人物から密命を受け、上海に戻った吉平だが、その前に片づけなければならないことがあった。それは、特務部の協力者だった鄭蘋茹の死の真相を突き止めることだ。
主席検察官の娘で、日本人の母親を持つ蘋茹は、日本語も堪能で、清楚な美人だった。その蘋茹が、日本政府が抗日テロ対策として親日派中国人を傀儡として設置した特務機関「ジェスフィールド76号」の主任・丁黙邨に接近し、暗殺を試みた末に失敗して処刑されたというのだ。
実在の女スパイをモデルにした書き下ろし歴史サスペンス。
(徳間書店 792円)