「『おひとりさまの老後』が危ない!」上野千鶴子、髙口光子著
「『おひとりさまの老後』が危ない!」上野千鶴子、髙口光子著
それまで家族(主に女性)が担っていた介護の「社会化」を理念にした介護保険制度が発足して23年が経った。しかし、3年ごとの改正を重ねるごとに、制度は理念から後退を続けている。
本書は、「在宅ひとり死」の提唱者である上野氏と、長年、介護の現場に関わり続けてきた髙口氏が、日本の介護の現在を語り合う対談集。
髙口氏は、介護施設を経営する大手のグループ会社にヘッドハンティングされ、20年勤務したが実は今春、解雇されたという。背景を聞いた上野氏は、その解雇の理由の裏には、施設の職員配置の基準が緩和されるなど介護保険が改悪され、施設の経営者側が生産性を追求していると指摘。さまざまなエピソードから、現場で起きている課題の本質をえぐりだす。
(集英社 1100円)