「伊達女」佐藤巖太郎著
「伊達女」佐藤巖太郎著
天正16(1588)年2月、義姫は息子の政宗が率いる伊達軍が大崎家との戦いに敗れたと聞き、動揺する。実家の最上家が大崎家に加担していたからだ。このままでは息子の政宗と兄の義光が争う事態になりかねない。伊達家にとって最上と和睦を結ぶのが最良の選択だとは思うが、政宗は義姫を遠ざけ、進言もままならない。
見かねた義姫は出入りの商人を介して、兄・義光へ手紙を届け和議を提案。義光から和睦に応じてもよいという返事が届くが、伊達家と最上家の交渉は膠着状態に陥ってしまう。業を煮やした義姫は、戦支度を整え、両軍がにらみ合う国境に自ら出陣する。
ほかにも、妻の愛姫や養育係の喜多ら、伊達政宗に近しい女性たちを主人公に描く時代短編小説集。 (PHP研究所 946円)