「味なニッポン戦後史」澁川祐子著
「味なニッポン戦後史」澁川祐子著
日本人の味覚の変化を追った一冊。
まずは「化学調味料」や「だし」に代表される「うま味」について。
かつてはどの家にも常備されていた「味の素」をはじめとする化学調味料(=うま味調味料)。一時期は、料理本でもさまざまなレシピに用いられていたが、ある時期を境に食卓や料理本から一斉に消えてしまった。一方で今、若い料理人によって見直される動きもある。その背景を分析しつつ、結局は多くの人がいかにも人工的な感じがする白い粉をなんとなくイメージで避けているに過ぎないことを明らかにする。
ほかにも、昆布とかつお節の合わせだしや、ご当地塩ブームなどを俎上に、塩味や甘味、酸味、苦味など、さまざまな味覚について日本人の嗜好の変化をたどる。 (集英社インターナショナル 968円)