「日本俗信辞典」常光徹著
「日本俗信辞典」常光徹著
「夜は爪を切ってはいけない」とか「霊柩車に出合ったら親指を隠せ」などの迷信を実践していた昭和生まれも多いのでは。本書は、古くから伝承されてきたこうした俗信とも呼ばれる知識や生活の技術を集めた辞典シリーズの身体編。
「あ」で始まる巻頭の「垢」の項では、まず「夜、耳の垢をとってはいけない」との言い伝え。これは各地で言われているが、その理由は、夜間に耳垢を取ると「福の神を掻き出す」(福岡県久留米市)、「親の死に目に会えない」(山形県長井市)と、土地によってさまざま。同様に耳垢を焼くのも禁忌。耳が聞こえなくなる(各地)、気がふれる(三重県桑名市)などと伝わる。
以降、頭や指、脇まで身体の各部から、咳や疲れなどの生理現象まで600例以上を紹介。
(KADOKAWA 1980円)