「『忘れられた日本人』の舞台を旅する」木村哲也著
「『忘れられた日本人』の舞台を旅する」木村哲也著
民俗学者の宮本常一(1907~81)の著作「忘れられた日本人」に衝撃を受け、その足跡をたどった旅の記録。
始まりは1993年5月、宮本の故郷であり、その民俗学の原点である山口県周防大島から。氏の故郷を歩き、お墓参りをするのが目的だ。節約しながらの旅は野宿が基本。雨が降るその日も現地についてまず野宿ができそうな神社に荷物を下ろし、食料を買いに行った店で宮本家の墓参りにきたと告げると、店の裏に生家があり、息子夫婦が住んでいるという。挨拶に行くと、応対してくれたのはなんと常一の夫人のアサ子さんだった。
以降、自らの故郷でもある高知や、長崎県対馬など、著作に登場する10カ所を訪ね歩き、宮本が会った人やその縁故者らに話を聞く。 (河出書房新社 1078円)