「マイナーノートで」上野千鶴子著
「マイナーノートで」上野千鶴子著
39歳で若年性認知症と診断された丹野智文さんが「認知症の私から見える社会」(講談社+α新書)を出して、この本を読むオンラインイベントを実施した。
これまでは認知症の専門家や認知症患者の家族が認知症について書いたり論じたりしてきた。認知症当事者は発言能力がなかったり、あっても取り合ってもらえなかったりしたのだが、この本では「社会が認知症当事者をどう見ているか」ではなく、「認知症当事者に社会がどう見えているか」を論じている。「さっきも言ったでしょ」と言われるようになり、医師も認知症当事者の体調を本人ではなく家族に聞くようになる。
違った視点があることを気づかせてくれるエッセー集。 (NHK出版 1980円)